代表理事石井よりご挨拶

 

高校入学前からはじめる「高校デビュー支援」のクラウドファンディングを開始しました。以下のいささか長すぎる文章を読んで、共感していただいた方は、是非クラウドファンディングのご協力お願い致します。

 

 

 

★高校デビューし損ねた幻のクラスメイトたち

 

 

 

高校からやり直したかった不登校経験のある中学3年生は、ちゃんと高校からやり直せているのだろうか?

 

 

 

つまり、人生を賭けた不登校経験者たちの「高校デビュー」は果たせているのだろうか?ということを考えることがある。

 

 

 

入学式だけ来て、その後フェイドアウトしていく幻のクラスメイトはどこの学校にもいる。ひきこもりの支援機関で相談を受けていても、「高校は入学式だけ」というエピソードは鉄板ネタと言っていいほど後を絶たない。

 

 

 

大げさではなく“命がけ”の進学の失敗。それは、教室や学校へのトラウマの再生産。これは未来永劫続くだろう、「高校デビュー支援」がない限り。

 

 

 

クラスに友人が一人もいないので学校に居場所がない。そんな生徒の相談は実に多い。いつだったか、パノラマ理事で学校司書の松田ユリ子さんが「学校は友達に会いに来る場所だから」と言っていた。

 

 

 

逆に言えば、友達がいなければ学校に来る意味はない、「だから辞めたい…」。そんな相談をよく受けるわけだけど、実際は、そんな相談をしてくれないまま学校に来なくなる生徒の方が圧倒的に多いはずだ。この無力感、なんとかならないのだろうか?

 

 

 

★中退理由分析

 

 

 

そんな、ぼくらが出会うことのできなかった生徒たちに、もう少し思いを馳せてみよう。「平成29年度公立高等学校等生徒の異動の状況」集計結果の高校生の中退理由を見てみると以下のようになっている。

 

 

 

1「もともと高校生活に熱意がない」14.3%

 

2位「人間関係が上手く保てない」8.8%

 

3位「授業に興味がわかない」7.3%

 

 

 

これは多分当たっている憶測だけど、1位の「もともと高校生活に熱意がない」生徒は、不登校経験のある高校からやり直したかった生徒を含まない。これは、高校になんとなく入れてしまったけど、学ぶ熱意や意欲が持てないヤンキータイプだと思う(この層にはこの層への支援が必要である)。

 

 

 

今回、パノラマが新たに取り組む支援対象である、高校からやり直したかった内向的な生徒たちは、「人間関係が上手く保てない」2位の生徒だと想定している。そして、大事なポイントは、1位と2位の生徒は関わりがないように思えて関わらざるをえない強い関係性がある。この関係を別の言い方をすれば「スクール・カースト」ということになる。

 

 

 

2位の内向的な生徒は1位のヤンキータイプがうるさくて嫌いだ。もっと言えば、いじめのターゲットにされる可能性があり怖くてしょうがないのだ。実際にいじめにもあっているだろう。内向的な生徒は、ヤンキータイプが闊歩する学校、授業を妨害する教室には行きたくないのだ(私立高校へのニーズはこの辺にあるのではないかと思う)。

 

 

 

悲しい事実ではあるが、どこの高校も学校が落ち着くのはヤンキータイプが中退して一定程度いなくなったあとである。中退の予防支援をしているぼくがこんなことを言うのも変な話なんだけど、この落ち着き期までに身を寄せ合う仲間が内向的な2位タイプの生徒には絶対に必要である。しかし、どうしても友達ができない結果が「人間関係が上手く保てない」中退なのだと思う。

 

 

 

★高校入学前からはじめる「高校デビュー支援」

 

 

 

そこで、今回の「高校デビュー支援」は、進学に不安を抱える中学3年生と、校内居場所カフェ・スタッフ&ボランティアが入学前に信頼貯金(ラポール形成)を可能な限り貯め、できることなら身を寄せ合う友だち作りもカフェでできる、というものがプロジェクトの概要になる。

 

 

 

ぼくの考える仮説は、「ぼっちがぼっちのまま入学式を迎えると中退リスクが高いが、ぼっちが入学式前に二人ぼっちになっていれば中退リスクは下がる」というものだ。これは実際に今後データを追って証明していきたいと思っている。

 

 

 

フルセットではもっといろいろと考えているんだけど、高校デビュー支援は中学三年生への支援を高校内で行うため、個人情報の取り扱い等、様々な制約が生じてしまう。

 

 

 

よって、今春はトライアルとして入学前校内居場所カフェ体験を、保護者と生徒が来校する「合格者説明会」後に実施する、というところに落とし所を持ってきている。成果が見えてきたら教育委員会等を含め、中高の接続支援をスムースなものにしていきたい。

 

 

 

また、この成果は「入学前支援」をしている高校のブランディングにまで高めていきたい。「入学前支援」は、生徒集めのアドバンテージになるだろう。実際、高校選びの志望動機に「カフェに行ってみたい」と言う中学三年生はいる。生徒集めに苦戦している神奈川県立高校のクリエイティブ・スクール5校での「入学前支援」導入を目指すべく、既にクリエイティブ・スクーリの校長会ではプレゼンテーション済みであり、大きな期待を寄せてもらっている。

 

 

 

★入学前カフェ体験

 

 

 

まずぼくが、合格者説明会で新1年生たちと保護者の前でパノラマが取り組んでいる校内支援についてプレゼンテーションをさせてもらう。そして、進学に不安を抱えている生徒の皆さんは、この後カフェを体験しに来て欲しいとアピールする。

 

 

 

カフェでは、それぞれの関心のあるテーマのテーブルに座ってもらい、ボランティア・スタッフを中心に楽しい時間を過ごしてもらう。テーマは現在検討中だが、ジャニーズの雑誌を何冊も置いた「ジャニオタ・テーブル」とか「アニメ大好きテーブル」とか「カードゲームで遊ぶ」などの中に「進学の不安を語る」や「友だち作り(女子限定)」みたいないなのも入れようと思う。ぼくは「保護者のつながり」みたいなテーブルで保護者とお話してみたいと思っている。

 

 

 

しっかりと入学前に相談したいという保護者がいれば、別日を設けて相談に乗ることで不安を払拭し、入学式後、何かあればカフェに逃げ込むことのできる信頼貯金をしっかり貯めていければと思っている。

 

 

 

★クラウドファンディング(ご寄付)のお願い

 

 

 

このありそうでなかった中高接続の「高校デビュー支援」、実はかながわボランタリー推進基金の協働事業にエントリーしていたが、残念ながら採択されず、予算の当てが外れてしまったプロジェクトである。つまり先立つ資金がないのです。

 

 

 

しかしやりたい!こんなにいい、学校からも強い要望がある企画を考え、必死に作った資料を机の引き出しに死蔵させるわけにはいかない。そんな思いから、クラウドファンディングを立ち上げることにさせていただきました。皆さま、何卒ご寄付いただきますようお願い致します。

 

 

 

NPO法人パノラマ 石井正宏